シェーグレン症候群

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シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群(SS)は、自己免疫疾患の一つで、主に外分泌腺、特に唾液腺や涙腺が慢性炎症によって破壊され、口腔乾燥や眼の乾燥が生じる疾患です。男女比は1:17と圧倒的に女性に多く、40〜60代に好発します。
SSは、他の疾患を合併しない「一次性SS」と、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど他の自己免疫疾患を合併する「二次性SS」に分類されます。二次性SSに合併する疾患のうち、関節リウマチが約40%と最も多いです。一方、関節リウマチから見ると、約20%にSSを合併し、両者は互いに密接に関連しています。
SSでは、口腔乾燥症、耳下腺腫脹、乾燥性角結膜炎といった腺症状に加え、関節痛、皮膚症状、末梢神経障害、間質性肺炎、間質性腎炎などの腺外症状(病変)や、橋本病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、悪性リンパ腫などの合併症が見られることがあります。

まずは的確な診断が重要です。ドライアイ、ドライマウスなど、少しでも気になる症状があれば、当院へご相談ください。
なお、SSは指定難病です。当院は東京都難病指定医療機関であり、SSの難病申請・更新が可能です。

シェーグレン症候群の症状

シェーグレン症候群では、以下のような症状が現れることがあります。

  • 目が乾きやすい
  • 目の異物感や疲れやすさがある
  • 口が乾きやすい
  • 虫歯ができやすい
  • 耳下腺(耳の下の頬)の腫れ
  • 皮膚の乾燥
  • 関節痛
  • 筋肉痛
  • 手足のしびれ
  • 強い倦怠感
  • リンパ節の腫れ
  • 空咳
  • 発熱 など

シェーグレン症候群の原因

現時点ではシェーグレン症候群(SS)が発症するメカニズムは解明されていませんが、以下のような要因が複雑に影響し合って発症するのではないかと考えられています。

免疫系の異常

SSの唾液腺、涙腺などにおける慢性炎症には、CD4陽性T細胞の浸潤が重要な役割を果たしています。CD4陽性T細胞の浸潤は、主に外分泌腺の導管周囲に見られます。導管上皮細胞はMHC class II分子を発現し、抗原提示を介してCD4陽性T細胞を活性化し、局所の炎症や腺組織の破壊を引き起こします。同時にB細胞も異常に活性化されることで自己抗体の産生が亢進し、自己免疫応答が増強されると考えられています。特に外分泌腺に発現するM3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R)に対する自己反応性T細胞と自己抗体がSSの病態形成に重要な役割を果たしている可能性が示唆されています。

ウイルス感染との関連

EBウイルスやヒトT細胞白血病ウイルス1型などのウイルス感染が、SSの発症に関与している可能性が指摘されています。これらのウイルスがさまざまなメカニズムによって免疫異常を引き起こし、SSの病態形成に関わることが想定されています。

遺伝的要因

SSにおいて、HLAクラスII遺伝子におけるリスクアレルや、STAT4、IRF5、BLKといったT細胞、B細胞、インターフェロン応答などの免疫系に関わる疾患感受性遺伝子の存在が証明されています。また、一卵性双生児における発病一致率の高さ、家系内発症がありうることなどからも、遺伝的要因が想定されています。

女性ホルモンの関与

SSは多くが女性に発症し、エストロゲンなどの女性ホルモンが病態形成に関与していると考えられています。ホルモンバランスの変化などが免疫異常を増強することで発症に関わる可能性が考えられています。

シェーグレン症候群の検査

シェーグレン症候群(SS)の正確な診断、疾患活動性の評価には、複数の検査が必要です。また、腺外病変があるかどうかによって治療法が異なるため、その確認も重要です。
なお、患者様によって適した検査は異なるため、必ずしも全ての検査が必要となるわけではありません。

血液検査・尿検査

血液検査は、SSの診断、合併症の評価などにおいて重要な役割を果たします。抗SS-A抗体、抗SS-B抗体は、SSに特異的な自己抗体であり、診断の一助となります。血算、リウマトイド因子、抗核抗体、抗セントロメア抗体、免疫グロブリンなどでもSSに特徴的な所見が見られることがあり、診断の参考になります。

また、腺外病変や合併症の評価のため、肝・腎機能、甲状腺機能、KL-6などの血液検査、尿検査を行います。さらに、他の自己免疫疾患の合併が疑われる場合には、抗CCP抗体や抗二本鎖DNA抗体など特異抗体の検査も行うことがあります。

口唇腺生検

下口唇の小唾液腺を採取し、組織学的にリンパ球浸潤の有無を確認する検査です。SSでは導管周囲に著明なリンパ球浸潤が見られ、診断において重要な所見となります。口唇腺生検は口腔外科で実施される検査です。検査が必要となる場合は、当院と連携する医療機関へ紹介させていただきます。

眼科検査

いずれも眼科で行う検査です。検査が必要となる場合、当院と連携する眼科へ紹介させていただきます。

シルマー試験

涙液の分泌量を測定する検査です。吸水紙を下まぶたに挟み、5分間で吸収された涙液の量を測定し、涙液分泌の低下を評価します。

蛍光色素試験・リサミングリーン試験・ローズベンガル試験

それぞれフルオレセイン、リサミングリーン、ローズベンガルという蛍光色素を使用し、乾燥による角結膜上皮の損傷を観察する検査です。色素が損傷部位に染まり、その状態を確認します。

涙液層破壊時間

開眼から角膜上の涙液膜が破壊されるまでの時間を計測します。これが5秒以下であれば、涙液の質の低下が疑われます。

口腔検査

一部は口腔外科や放射線科で行う検査です。検査が必要となる場合、当院と連携する医療機関へ紹介させていただきます。

ガム試験

ガムを10分間噛んでいただき、分泌された唾液の量を測定します。10cc以下だと唾液分泌低下が疑われます。

サクソン試験

ガーゼを口に含んで噛み続け、2分間で吸収された唾液の量を測定します。2g以下だと唾液分泌低下が疑われます。

無刺激唾液(吐唾法)

刺激を与えずに、一定時間内に自然に分泌される唾液の量を測定します。

唾液腺造影

唾液腺に造影剤を注入し、唾液腺の構造的な異常を検出するX線検査です。SSでは、腺組織、導管の破壊による特徴的な所見が見られます。

唾液腺シンチグラフィ

微量の放射性同位元素を用いて、唾液腺の機能を画像で評価します。

関節エコー検査

関節炎の有無を評価します。

胸部X線・CT

間質性肺炎の有無を評価します。

神経伝導速度検査

末梢神経障害の有無を評価します。神経伝導速度検査は神経内科で実施される検査です。検査が必要となる場合は、適切な連携医療機関へ紹介させていただきます。

(2024年9月9日時点)

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