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メトトレキサートとは
メトトレキサートは、関節リウマチの治療薬(疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs:disease-modifying anti-rheumatic drugs))における最も中心的な薬で、「アンカードラッグ」(要となる薬という意味)と呼ばれています。
その効果と安全性は長年の研究で証明され、日本や欧米の関節リウマチのガイドラインでも、メトトレキサートは最初に使うべき薬として強く推奨されています。
この薬は、免疫の異常な働きを抑えて、関節の炎症や痛みを和らげ、関節のダメージを防ぎます。単独でも多くの患者さんに効果があり、症状が改善し、骨が壊れるのを抑えることが確認されています。また、他の治療薬と組み合わせることで、さらに効果が高まることも多くの研究で示されています。
こうした実績から、メトトレキサートは世界中で関節リウマチ治療の基本となる薬として広く使われています。
大田区大森中・梅屋敷・蒲田のフォレスト内科リウマチ科クリニックでは、世界標準の関節リウマチ治療を実践しています。メトトレキサートをはじめとするさまざまな治療法に精通しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
メトトレキサートの特徴
メトトレキサートには以下のような特徴があります。
アンカードラッグとしての位置付け
メトトレキサートは、日本および欧米の関節リウマチ治療ガイドラインにおいて、「アンカードラッグ」(治療の中心となる薬剤)として位置付けられています。この位置付けは、メトトレキサートの有効性と安全性に基づいており、臨床研究や長期的な使用経験に裏付けられています。
薬の使用方法と用量
メトトレキサートは、内服か皮下注射(メトジェクト®️)を選択できます。
現時点で、日本では週に1回の内服がより一般的であり、初回は週に6~8mgから開始し、効果を見ながら最大16mgまで増量することができます。
皮下注射は、自己注射のご負担があるものの、同じ用量でも内服に比べて高い血中濃度を維持でき、効果が安定しやすい可能性があること、肝障害や胃腸障害などの副作用が軽減できる可能性があることなどのメリットがあると考えられています。
単剤療法での有効性
メトトレキサートは、単剤でも約6割の患者様に効果を発揮し、治療開始から数週間で症状の改善が見られます。これまでの臨床研究により痛みや腫れの改善、骨破壊の予防、関節機能の維持などにおける有効性が確立しています。
併用療法における有効性
反対にメトトレキサート単独では、約4割の患者様が十分に良くなりません。効果不十分の場合は早い段階から治療の調整を行っていく必要があり、生物学的製剤やJAK阻害薬の併用が選択肢となります。これらの薬は、メトトレキサートと併用することでその治療効果がさらに高まります。特に、生物学的製剤を使用する際、メトトレキサートは中和抗体の産生を抑制する効果などを持つため、併用することで生物学的製剤の効果を増強するだけでなく、持続させる役割を果たします。これにより、治療効果の最大化が期待できます。
定期的なモニタリングが必要
メトトレキサートの使用には、副作用の管理が重要です。肝機能障害、骨髄抑制、肺障害などのリスクがあるため、治療開始初期には2~4週間ごとに血液検査(貧血、肝機能など)を行い、その後も定期的な検査が必須です。さらに、メトトレキサートの長期使用に関連して、最近特に注意が必要とされているのが、OIIA-LPD(other iatrogenic immunodeficiency-associated lymphoproliferative disorders)です。OIIA-LPDは、メトトレキサートなどによる免疫抑制に関連して発生するリンパ増殖性疾患で、リンパ球が異常に増殖する血液の病気です。これはメトトレキサートの長期使用によりごく稀に発生することがありますが、メトトレキサートの中止によって自然に改善する場合もあります。そのため、早期の発見と適切な対応が非常に重要です。
葉酸補充の必要性
メトトレキサート服用時には、葉酸の補充が必須です。葉酸は、メトトレキサートの副作用を軽減するために週に1回、通常は5mg程度を服用します。葉酸の補充により、消化器症状や口内炎、骨髄抑制などの副作用を軽減することができます。
治療前に知っておいてほしいこと
メトトレキサートを服用するにあたっては、いくつかの気をつけるべきポイントがあります。
当院は豊富な使用実績にあり、安全に最適な治療を行うことが可能です。
効果発現までに時間がかかる
メトトレキサートの効果が現れるまでには、早くても2週間程度かかり、通常は数週間かけて徐々に改善が見られるようになります。そのため、即効性がなくても、継続的に治療を行うことが大切です。
スクリーニング検査が必要
メトトレキサートを開始する前には、薬を安全に使用できるかどうか確認するためにスクリーニング検査が必要です。感染症(結核、B型肝炎、C型肝炎)や肺病変の有無を確認するための検査(胸部X線)を行います。これらの検査結果に基づいて、安全に治療を開始できるかどうかが判断されます。
副作用に注意が必要
メトトレキサートには、まれに肝機能障害、骨髄抑制、肺障害、消化管障害、免疫抑制といった副作用が起こることがあります。これらの副作用は、早期に対応することで重症化を防ぐことが可能です。特に、口内炎はこれらの副作用の初期症状であることが多いとされています。少しでも異常を感じた場合は、些細なことでもご遠慮なくご相談ください。
定期的な検査が必要
副作用の早期発見、治療効果の確認のため、定期的な血液検査が重要です。特に、副作用は早期に発見できれば、より対処しやすくなります。
服用中は感染症に注意が必要
メトトレキサートは免疫機能を抑える作用があるため、ご年齢や他の合併症の有無によっては、感染症に注意が必要です。発熱や咳など感染症の症状が出現した場合にも、すぐにご相談ください。
アルコールは控えめに
メトトレキサートは肝臓に負担をかけるため、特に服用日などはアルコールは控えめにすることが望ましいです。飲みすぎは肝機能に悪影響を及ぼすことがあるので、適量を心がけましょう。
妊娠・授乳中は禁忌
メトトレキサートは、妊娠中や授乳中の方には使用できません。妊娠を希望される場合は、少なくとも1月経周期の休薬期間を設ける必要があります。妊娠を計画している方は、他の薬剤を選択する必要があるため、事前にご相談ください。
予防接種に注意が必要
メトトレキサートの治療中には、生ワクチンの接種ができません。予防接種を予定している場合や、どのワクチンを受けるべきかなどのご不明な点がある場合には、ご遠慮なくご相談ください。