JAK阻害薬

JAK阻害薬とは

JAK阻害薬とは

JAK阻害薬は、関節リウマチの治療において、JAK(Janus kinase)という酵素の活性を抑制することで、関節炎を制御する薬剤です。関節リウマチでは、炎症性サイトカインがJAK経路を介して免疫細胞を活性化し、関節の炎症や破壊を引き起こします。JAK阻害薬は、このシグナル伝達を遮断し、過剰な免疫反応を抑制することで、治療効果を発揮します。
効果の発現が比較的速やかで、早期の症状改善が期待できる場合があります。また、JAK阻害薬は飲み薬であり、継続しやすいという利点もあります。
一方、飲み薬であっても、従来の飲み薬(メトトレキサートなど)より非常に高額です。また、生物学的製剤より高額になる場合もあるため、注意が必要です。

最新のガイドライン(日本リウマチ学会・関節リウマチ診療ガイドライン2024)では、長期安全性や費用の観点から、生物学的製剤を優先すること(フェーズII)が推奨されています。
現在、日本で使用可能なJAK阻害薬には、トファシチニブ(ゼルヤンツ®)、バリシチニブ(オルミエント®)、ペフィシチニブ(スマイラフ®)、ウパダシチニブ(リンヴォック®)、フィルゴチニブ(ジセレカ®)の5剤があり、それぞれ異なる特性を持っています。
JAK阻害薬は、従来の治療で効果不十分だった患者様だけでなく、特に効果発現の速さや服用の利便性などを求める患者様に対しても有効な治療手段となっています。

大田区大森中・梅屋敷・蒲田のフォレスト内科リウマチ科クリニックでは、患者様のライフスタイルに合わせたオーダーメイドの治療を提案しております。JAK阻害薬による治療実績も豊富にございますので、ぜひお気軽にご相談ください。

JAK阻害薬の特徴

JAK阻害薬には以下のような特徴があります。

作用機序

JAK阻害薬は、免疫細胞におけるJAKという酵素の働きを抑制することで、免疫応答を調整し、関節リウマチの炎症を抑える薬剤です。生物学的製剤はサイトカインシグナルを「細胞の外」で遮断するのに対し、JAK阻害薬は「細胞の中」で遮断し、過剰な免疫反応を制御します。JAK阻害薬は複数のサイトカインシグナルを同時に制御するため、広範な炎症を制御できる可能性があります。

効果発現の速さ

JAK阻害薬は、効果が比較的早く現れることが報告されており、患者様の症状が早期に改善する可能性があります。

用法

JAK阻害薬は飲み薬として服用できるため、患者様にとって継続しやすいです。

費用

従来の合成DMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬)(メトトレキサートなど)よりも費用が非常に高額です。生物学的製剤よりも治療費が高額となることがあるため、治療薬を選択する際は注意が必要です。

メトトレキサート非併用でも安定した有効性

JAK阻害薬は、メトトレキサートを併用できない患者様においても単剤で十分な有効性を発揮することが確認されています。

肝機能・腎機能の影響

JAK阻害薬は低分子化合物であり、主に肝臓や腎臓で代謝されます。肝臓や腎臓の機能が低下している患者様では、薬物の排泄が遅延し、体内に薬が蓄積される可能性があるため、使用できない場合や慎重な投与調整が必要となることがあります。

治療前に知っておいてほしいこと

JAK阻害薬を使用するにあたっては、いくつかの気をつけるべきポイントがあります。

スクリーニング検査や事前の問診が重要

JAK阻害薬を開始する前には、薬を安全に使用できるかどうか確認するためにスクリーニング検査が必要です。感染症(結核、B型肝炎、C型肝炎)や肺病変の有無を確認するための検査(胸部X線)を行います。これらの検査結果に基づいて、安全に治療を開始できるかどうかが判断されます。
また、心血管系合併症(心筋梗塞など)や静脈血栓塞栓症などのリスク因子をお持ちの方では、リスクがさらに上昇する可能性が示されているため、事前の問診などによる評価が必要です。

感染症に注意が必要

他の薬剤と比べて、帯状疱疹が発生するリスクが高くなる可能性があるため、注意が必要です。当院では、JAK阻害薬の開始前に帯状疱疹ワクチン(シングリックス®️)を接種していただくことを推奨しています(当院では大田区の助成が適用されます)。
なお、JAK阻害薬の中でもフィルゴチニブ(ジセレカ®️)は帯状疱疹の発生頻度が比較的低い可能性があり、他の要因(ワクチン接種歴の有無、年齢)なども考慮した上で、薬剤を選択します。

また、頻度は非常に低いですが、結核やニューモシスチス肺炎などの感染症に注意が必要です。過去に結核にかかったことがある患者様では、結核が再発するリスクが懸念されるため、先行して抗結核薬による治療を行うことが推奨されます。また、高齢の方や既存の肺病変がある患者様では、ニューモシスチス肺炎のリスクが否定できないため、ST合剤などによる予防が必要となります。

他院を受診する際はJAK阻害薬の使用を伝える

JAK阻害薬は、発熱やCRP(血液検査の炎症マーカー)の数値を抑える場合があるため、これらが感染症などの初期徴候として現れにくくなる可能性があります。
他の医療機関を受診される場合、これらは症状や検査結果の解釈に影響しますので、ご申告いただく必要があります。

貧血や脂質代謝異常に注意が必要

JAK阻害薬の副作用として、貧血や、血中コレステロール・トリグリセリドの上昇などが見られることがあり、必要に応じて適切に対処する必要があります。

定期的な検査が必要

副作用の早期発見、治療効果の確認のため、定期的な血液検査が重要です。特に、副作用は早期に発見できれば、より対処しやすくなります。

予防接種に注意が必要

JAK阻害薬の使用中は、生ワクチンの接種が禁忌とされています。生ワクチンには弱毒化された病原体が含まれており、免疫機能が抑制されている状態では感染症を引き起こすリスクがあるためです。予防接種を検討される場合は、事前に医師にご相談ください。

ご予約・お問い合わせ

03-3766-3300

24時間受付中

WEB予約